労働モジュール:維持するための動き
Work Unit: Motion to Maintain 2025-6
H3500×800×300mm
mixed media
労働モジュール:維持するための動き
Work Unit: Motion to Maintain 2025-6
H3500×800×300mm
mixed media
本作は、観客が操作できる壁面インスタレーションです。 「回す」という反復動作を通じて、終わりのない、不安定で持続的な“労働”の状態を体感することができます。
装置は上下2つの歯車とベルトで構成され、外側には緑色の金属ネットが覆っています。観客が下部のハンドルを回すことで構造が駆動し、内部の素材が回転しながら擦れ合い、ぶつかり合う音を発します。
このシステムに「正解」や「完成形」はなく、常に引っかかりやズレが生じ、リズムが乱れます。 作品は、私たちが日常的に経験するある状態を示唆しています。つまり、環境に適応するために何度も自らを調整し、繰り返し“労働”を続けるしかないということ。 それは、わずかな安定感を与えることもあれば、苛立ちや疲労感を伴うこともあります。
ネットの中には、圧縮され再構成された身体の断片のような異形の物体が見えます。人間の姿に戻ることはできませんが、圧迫やねじれ、そして前へと無理やり押し進められるような身体感覚を残しています。
本作は明確な意味を提示するものではありません。 むしろ観客自身に体験してもらうことで、「なぜ動いているのか分からないけれど、動き続けている」——そんな状態に自らの身体で触れてもらうことを目的としています。 それは、何かを“達成する”ための行為ではなく、“いま起きている”体験そのものです。