静と動から切り取るリアリティ
Reality cut from stillness and motion, 2024-9
H2500 × W1800 × D1800 mm
mixed media
静と動から切り取るリアリティ
Reality cut from stillness and motion, 2024-9
H2500 × W1800 × D1800 mm
mixed media
現代の生活では、リモートワーク、SNSを介した人間関係、ネットショッピングなど、スクリーン越しに体験することが日常となった。スマートフォンの平面性は、もはや虚構への入り口ではなくなり、そこから感じ取るリアリティは現実との境界線を曖昧にしている。
しかし、構造の原理に立ち返れば、点は線となり、線は面となり、面は回転によって立体を形成する。
立体とは、真に空間性を有する存在であり、現実空間そのものだ。
本作では、モーターによって自動回転する横軸式の装置を用い、鉄線と金属網で構成された複数の平面がゆっくりと回転する。
観客は静かにその回転を見つめることで、物理的には明確に現れない概念的な立体残像を、自らの想像力によって補完することになる。
主な造形要素は、3Dモデリングソフトの仮想空間をイメージした緑色のグリッドで構成される。
芯棒とサポート部分は金属製、基盤にはコンクリートを使用し、回転中でも確かな重心を保つ構造となっている。
本作は、目に見えるものと、認識によって補われるものとの間にあるリアリティの曖昧さを体感させる。
浮遊する立体の虚構的イメージは、拡張現実やデジタル時代の感覚と交差し、現代における「リアリティ」の再考を促す。
リアリティは、浮遊する台座によって定義される。
これは、コンスタンティン・ブランクーシが台座を用いて作品を地面から浮かせ、現実空間との関係性を問い直した試みにも通じる。
本作は、スクリーンの向こう側に広がる虚構と、身体が介入する現実空間とのあいだに存在する、揺らぎと矛盾を映し出そうとするものである。
会期:2024年10月10日(木)~11月10日(日)
会場:東京ミッドタウン プラザB1 メトロアベニュー